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感染症の海外ニュースと解説

致死率100%の狂犬病ウィルス:森林破壊と蝙蝠(こうもり)の逆襲

コウモリが媒介するウィルス感染症は狂犬病、エボラ出血熱ばかりでなく、 二パウィルス(Nipah virus:別名ヘンドラウィルス)なども急増が懸念されています。 森林破壊が続き、コウモリが人間の生活圏と交錯するようになったからです。 森林破壊が続く南米ペルーのアマゾンに近い地域ではコウモリにより 食肉牛1,000頭あたり4%がリッサウィルスに感染しているという数字も 報告されています。 1.森林破壊で急増するコウモリ媒介ウィルス 毎年アジア、アフリカでは5万9千人を超える死者が発生する 狂犬病(ラビ―ウィルス:rabiesvirus)は発症すると 死亡率100%(死者の半数は15歳以下)。 病原体はラブドウイルス科(Rhabdoviridae)のリッサウイルス(lyssavirus genus) 発生地はインドが多く、これまでは毎年30,000人近い死亡が報告されています。 リッサウィルス属(lyssavirus)の狂犬病(ラビ―ウィルス:リッサウィルス感染症)は コウモリが宿主といわれ、野生哺乳類や犬、猫などペットや家畜を経由して感染します。 2014年のエボラ出血熱流行は短期間で数...
世界の健康と食の安全ニュース

乳がん発現を阻害するブドウ・レスベラトロール

10月は世界乳がん注意月間(Breast Cancer Awareness Month:BCAM). 1985年に米国の全米がん協会が製薬会社の協賛で始めた行事. National Breast Cancer Awareness Month (NBCAM) 90年代の初めごろよりピンクリボンが民間癌基金などの行事シンボルとなりました. 発祥の米国では大統領が早期発見を訴え、ホワイトハウスがピンクに染まります。 (official press photo by the White house.) 危険因子の酸化酵素CYP1B1とダイオキシンTCDD 1.乳がんを防ぐブドウ・レスベラトロール(resveratrol) 世界では毎年約138万人の乳がん患者が発生. 45万8千人が死亡するといわれます。 乳がんは不妊や未婚女性に多いといわれますが原因はいまだに不明。 アメリカでは最大原因を都市化と西欧風ライフスタイルによる 肥満、糖尿病、動脈硬化を原因とする遺伝子変異と捉えています。 早期発見が完治のカギですが、死者の内、約26万9千人は経済面から 発見が遅れる低所得層が多い国。 これらの国は...
世界の健康と食の安全ニュース

2008年ノーベル医学生理学賞で示されたノーベル財団の正義: 仏米「エイズ・ウィルス発見者論争の背景」

2015年のノーベル医学生理学賞は日本の大村博士とともにニガヨモギより アルテミシン(アルテミシニン)を発見した中国の屠??(Tu yuyu)博士が受賞. トゥーユーユー博士は毛沢東がマラリアに苦悩する北ベトナムを支援する 523プロジェクトのリーダーでした. 2011年に屠??博士がアメリカ・ノーベル賞のラスカー賞(臨床医学賞)を 受賞した時に起きた彼女の受賞に対する異論と抗議の数々。 そっとしておけなくなり、世界に再び示されたノーベル財団の正義。 そんなドラマを感じる2015年のノーベル医学生理学賞でした. (*屠呦呦(Tu youyou)博士はいわゆる博士ではありませんが、関係者は 尊敬を込めて Drの尊称で呼んでいます.) 1. 2008年のノーベル医学生理学賞に話題沸騰 2008年10月6日、ノーベル医学生理学賞がフランスの エイチアイヴィー(HIV:Human Immunodeficiency Virus)発見者らに 授与されました。 ノーベル賞が真のエイチアイヴィー・ウィルス発見者へ授与され、これまで続いていた 仏米の発見者特定論争が決着したことは、感染症を研究する学者や...
感染症の海外ニュースと解説

世界マラリアの日(World Malaria Day)と ヨモギ(クソニンジン)のマラリア特効薬アーテスネート(artesunate:アルテミシニン)

クソニンジン(Chinese wormwood :Qing Hao:Artemisia annua L) クソニンジンのヨモギパワー(アルテミシニン)がマラリア退治 毛沢東の523プロジェクトでノーベル賞を受賞した屠呦呦(Tu youyou)博士が発見 *屠呦呦:トゥーユーユー   1.世界マラリアの日(World Malaria Day) 毎年4月25日は国連の世界マラリアの日。 世界では106ヶ国、33億人がマラリア感染の危機に直面。 感染者総数推定2億1,000万人、推定627,000人が死亡しています(2012年:WHO)。 世界マラリアの日は2001年にスタートしたアフリカ・マラリアの日を 2007年に世界規模に変身させたもの。 アフリカ諸国及びマラリア撲滅に指導的な地位にある世界保健機構(WHO)は 2004年のマラリア撲滅キャンペーンでは安価なヨモギで作られた アーテスネート(アルテスネート)などのアルテミシニン(アルテミンシン)治療法を 徹底するよう訴え、以後約10年間で推定330万人の命を救ったといわれます。 この数字は死亡率ではアフリカで49%減、世界では42%減に...
糖尿病のニュースと解説

アジアの瓜(うり)食文化: ウリ科の強精強壮成分シトルリンで酷暑を凌ぐアジア人の知恵

瓜類で最大の大きさのスイカも、極小の小玉がますます 増えていますが摂食必要量を満たしません. 強い体作りのためには伝統的な大玉がお奨め. 1.強壮効果のある夏の健康野菜は瓜類 ウリ類はスイカを筆頭にシトルリン(Citrulline)、テルぺノイド、ビタミン、ミネラル、繊維質が 豊富な、図抜けた健康食品。 アジア、中東、南北アメリカ、地中海沿岸部など熱帯、亜熱帯諸国では スイカを含めた瓜類の消費量が日本をはるかに超えています。 日本の温帯地域は5‐6月が瓜(ウリ:gourd)の旬。 各地方、各地域によって多様な瓜類を様々な呼び名で楽しみますが 漬物が多く、消費量は多くありません。 瓜類(gourd)は身近な野菜ですが、カボチャとズッキーニ、夕顔と干瓢が同じものだと知る人は少ない でしょう. 果実野菜、果物として身近なスイカ、メロン、キュウリ、ゴーヤ、カボチャ、ズッキーニ、冬瓜(とうがん)、 夕顔(カンピョウ)、ヘチマ、瓢箪(ひょうたん)はどれもが近い親戚. 緑黄野菜として高血糖を防ぎ、強壮の栄養価が高いことで知られます。 2.シトルリン(Citrulline)の含有量と健康効果は比例しな...
世界の健康と食の安全ニュース

毛沢東の523プロジェクトと屠??(Tu youyou)博士: ノーベル賞受賞の背景に北欧人の気骨と正義感

世界の10億人以上が悩む蚊などが媒介する微生物感染症。 その撲滅に貢献した研究者ら3人が2015年のノーベル医学生理学賞を受賞。 その一人がマラリア退治の有効成分をヨモギから分離した中国人女性の 屠??(Tu youyou:トゥーユーユー)博士。 本人には国家プロジェクトをリードして発展途上国の悲劇を劇的に救済できた 満足感があったでしょうが、その功績は同胞や欧米人研究者で発見を主張する 声の大きい学者たちに掻き消され、永年認められることがありませんでした。 80才を過ぎた2011年、トゥーユーユー博士の功績が認められ、 アメリカン・ノーベル賞といわれるラスカー賞(臨床医学賞)を受賞した時に起きた異論と 抗議の数々は周囲を驚かせました。 ラスカー賞はベトナム戦争終結3年後の1978年に彼女が中国政府より その発見の実績により特別表彰されていることを重視。 彼女の発見に523プロジェクトが関与していることを認めながらも 彼女が主たる発見であることの何よりの根拠であるという認識でした。 (*屠??:Tu youyou)博士はいわゆる博士ではありませんが、関係者は 尊敬を込めて Drの尊称で...
糖尿病のニュースと解説

ATPと合成コエンザイムQ10過剰摂取の危険性

エネルギー源となるエーティーピー(ATP:アデノシン三リン酸)とは: 合成コエンザイムQ10(Coenzyme Q10)過剰摂取の危険性 1. エーティーピー(ATP)は生命維持のエネルギー源となる物質 生命を維持するエネルギー源となる物質がエーティーピー(ATP:adenosine triphosphate) ATPとはDNA(遺伝子)の構成要素であるたんぱく質のアデノシン(adenosine)に リン酸を二つ余計にとりつけたものでアデノシン三リン酸とも呼ばれます。 三栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂肪)を摂取した人体で消化吸収された分子は 三つの経路(解糖、クエン酸回路、電子伝達)を経てエネルギー源となる ATP(アデノシン三リン酸)をつくります。 三つの経路は下記部分で反応されます。 a. 解糖:細胞質の液状の部分(細胞質基質、マトリックス)。 b. クエン酸回路(ATP回路):細胞内のミトコンドリアのマトリックス。 c. 電子伝達:ミトコンドリアの内膜。 2. アデノシン一リン酸(AMP)とアデノシン二リン酸(ADP) アデノシンにリン酸が結合したものには、アデノシン一リン酸(...
糖尿病のニュースと解説

一酸化窒素合成を促すシトルリンとは不思議なミネラル

シトルリンはたんぱく質を構成するアミノ酸と同様な成分で(遊離アミノ酸)、 窒素を 合成し人体の生命維持活動に関わっている重要な成分。 自然界ではスイカ、ニガウリなどに含有する成分として知られています。 シトルリンは人体では、たんぱく質が作り出した窒素やアンモニアを基に、 絶え間なく体内合成されていますが、 体内で合成されたシトルリンは複雑な回路を経て、窒素やアンモニアを再生します。 この合成、再生過程でアルギニン、オルニチン、アスパラギン酸、尿酸、グルタミン酸などを 合成しますが、窒素、アンモニアを再生する機能が、生命維持、健康維持に 重要な働きとなります。 NO(一酸化窒素)合成を促すシトルリンとは: 1.  シトルリンの摂食量 シトルリンは単体で多量に摂食しても効果はありません。 2001年にノギボタニカルが発売した日本初のCoQ10はまたたくまに 日本中に広まりましたが、全ての消費者が正しい摂食をしているとは いえませんでした。 CoQ10もシトルリンも、その機能は栄養素、酵素など他の物質とともに、 協働して活性化するものです。 協働物質が不足していれば活性を失い、効果が激減しま...
健康と食品の解説

日本人に多い消化器系ガンと下戸遺伝子の相関

日本人に多い消化器系ガンと下戸遺伝子の相関: 飲酒で臓器を傷める日本民族の遺伝的特質 欧米人の正式なディナーは夕刻からカクテルが始まり、20時くらいからディナーが数時間 それからダンスが24時過ぎまで続くことが多く、3時、4時に帰宅するのは若者ばかりではありません。 ヨーロッパの多彩な酒文化に較べると日本の酒文化は実にシンプル。 日本人が遺伝的にお酒を飲めない下戸遺伝子体質だからです。 超グローバル化した現代においても、なお「酒とバラの日々」のような西洋のパーティー文化に 馴染めない最大の理由の一つが日本民族の遺伝的体質。 かって、ノーベル賞の日本人受賞者たちがストックホルムでの国王主催晩餐会でディナー後 早々にホテルへ引き上げたことが話題となりましたが、酒豪遺伝子の欧米人とは アルコール処理能力が全く異なる下戸遺伝子の日本人。 国際社会から孤立しないためにも西洋文化に馴染むことは重要ですが、 お酒を飲めない遺伝子は様々な消化器系ガン発症など負の部分が多々あります。 無理に飲むのは感心しません。 美味しい肴にはワインや日本酒が欠かせません.消化器系ガンにかかりやすい酵素が GA型(文中...
ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)

第四十九話:「ロシアに領土返還の意志はなし」

このところ、岸田外相がロシアを訪ねラブロフ外相と会談したり、 来る国連総会で安倍首相がプーチン大統領と会談して大統領の年内訪日を希う 段取りを進めるなど、日露平和条約締結へ向けた北方領土返還交渉を急ぐかの動きが 盛んですが、このタイミングは極めてまずいと考えます。 第一に、ロシア側の動きは、北方領土での新型経済特区開発計画を進めており、 メドベージェフ首相がつい先月にも択捉島を訪れるなど、度重なる暴挙を 繰り替えしたばかりであり、むしろクリミア半島の一方的な併合と ウクライナ東部地区親露派への軍事支援続行、シリア支援などは、明らかに 「国際秩序に対する挑戦姿勢」の発露と見るべきで、オバマ弱腰外交に付け入る 戦略の一環であり、力の行使を強めている習中国と歩調を合わせた “新たなる東西冷戦”の勃発と捉えるべきなのです。   第二に、ロシア側の北方領土問題に対する政府高官の諸発言からして、 不法占拠の認識など皆無であり、むしろ歴史を捻じ曲げるような「解決済み」とか 「大戦の結果手にしたもの」と強調する一方で、最近の国営通信社の発表によれば、 この地に新型地対空ミサイルを配備したとのことで、軍...
健康と食品の解説

バルクワインの重金属汚染と無添加ワインのからくり

狭い国土にはブドウ栽培適地が少ないために栽培は食用ブドウが優先. 国産ワインの原料となるブドウは総生産量の1割もありません。 2016年10月に国税庁より発表されたデータでは日本産といえるワインは18.7%. (山梨県甲府盆地のブドウ畑) 1. ワインの重金属汚染とミネラル含有量のラベル表示 ワインには様々な善悪の金属成分が陽イオンの形で存在します。 添加物ではありませんがクロム、マンガンなど有害金属イオンが 過剰なワインの場合は、パーキンソン病、活性酸素による心臓の損傷、 発癌の原因となる可能性も否定はできません。 ワインはヨーロッパの日常生活に欠かせない食品。 有害性は永らく伏せられてきましたが2007年にワインの重金属汚染調査が 食品と金属汚染の専門家であるイギリスの研究者、ノートン教授と ペトロッチ博士により発表され話題となりました。 調査は代表的ワイン生産国よりいくつかのテーブルワインを選び そのミネラル含有量を調べたものです。 国別に有害金属含有量を報告しましたが、特定農産物の安全性を産地や 生産者ではなく国別に比較することは困難な作業。 その意図は別なところにあったのでし...
健康と食品の解説

スーパー健康食材の黒ブドウが高すぎる本当の理由: 黒ブドウの内外価格差を最新取材

1. 高級化路線以外の選択肢が少ない日本のフルーツ生産 日本のフルーツは世界と比較して美味しいものが多い。 メロン、イチゴ、リンゴ、ナシ、桃などは他国に類例が見当たらないほど 美味しい産品があります。 ところが美味しいのは品種改良された高級品ばかり。 ほとんどの生産者が高く売れる高級品を追求しますから フルーツ全体の価格が他国に類例が見当たらないほど高くなっています。 国土が狭く、フルーツ栽培の適地が少ないのと、生産集約度が低く、 コスト高のために高級品に特化しないと競争力がないからです。 ブドウとかんきつ類は健康度が高いだけに温帯地域、亜熱帯地域の多くの国が 栽培し、価格競争が激しいフルーツ。 集約度の低い日本のフルーツ生産は普及品に限れば競争力がほとんどありません。 2. 日本のブドウはなぜ高い 日本は1960年代前半まではワイン市場が未熟で、ごく甘いワインが売れる時代でした。 ワイン用には米国原種(Vitis labrusca)の甘いコンコード(concord:黒色ブドウ)、 ナイアガラ(niagara:コンコードから派生した緑系ブドウ)などを導入していました。 近年は食用(ta...
湘南文化よもやま話:湘南を愛した人々

女性が創り、女性が支えた草創期のワイナリー: 湘南に紹介されたフランス文化

湘南地方にフランス食文化を紹介したフランス帰りの戸田康子さん 湘南を人生の拠点として選んだ康子さんは日本のワインビジネス先駆者のひとり。 フランス食文化の要(かなめ)のワインも食習慣が無い太平洋戦後の日本には 商品がほとんどありませんでした。 それなら自分で作ろうと湘南地方で適地を探した康子さん。 やっと見つけたのは湘南からはやや遠い現在の相模原市でした。 *2004年初版のインプットミスをそのまま引用しているサイトが多いですが 改訂版のデータが正解です。 写真は著作権で保護されています。 ワイン文化が根付かない日本にあって、ゲイマー・ワイナリーは第二次大戦後、 50年余りにわたり、フランス・ワイン文化の紹介と普及に努力した 日本のワイン史に残るワイナリー。 1. ゲイマーワイン(株)のワイナリー 1952年(昭和27年)にゲイマーワイン(株)(Gueymard wines K.K)は 現在の神奈川県相模原市大野台4丁目1-1の地に創業しました。 相模原ゴルフクラブに隣接した16,000坪のゲイマーブドウ園は、神奈川県唯一の 本格的ワイナリー。 緑の少なくなった同地域では、ゴルフクラブ...
世界に知られた日本人と外国人

尾崎秀實の思想とスパイゾルゲ事件: 所得と身分の格差拡大が若者を蝕んだ時代

(文中は秀實を秀実とさせていただきます) 1.映画になった尾崎秀実(おざき・ほつみ:秀實)のスパイゾルゲ事件 毎年夏が近づくと太平洋戦争を題材にした映画が封切られる。 今年(2013年)はアニメではあったが、三菱名古屋航空機の設計家堀越二郎のラブストーリー。 フィクションとはいえ技師が道化にされているようで後味は良くなかった。 出来栄えを比較するわけではないが、10年前(2003年6月)には「スパイゾルゲ」という 秀逸な劇場映画が話題となった。 映画は第二次世界大戦前夜の騒然とした日本や中国上海を背景として、 リヒャルト・ゾルゲ(1895年-1944年:Richard Sorge:ソ連国籍のドイツ人新聞記者)や 尾崎秀実(1901年-1944年:朝日新聞記者、満鉄調査部、近衛内閣支那問題顧問)が 何故スパイとして逮捕、死刑になったかを描いている。 ゾルゲの墓は尾崎に較べ整備が行き届いている. ロシア国の支援も?内縁の女性をはじめ関係者の記念碑となっている。 ラストミニッツでソ連に裏切られた日本人には複雑な思い.(東京都多磨霊園) 2.拡がる経済格差、身分格差こそが太平洋戦争に繋がった ...
世界に知られた日本人と外国人

来栖三郎駐米大使とジョゼフ・グルー駐日米国大使の交遊

太平洋戦争は不可避だった!! ? 2015年8月15日は太平洋戦争後70年の記念日。 争いの原因分析が進み、歴史的考察は出尽くした感がありますが、 誰もが指摘するのが日本人の語学下手。対外コミュニケーションの不足です。 当時は外務省にさえ語学の達人は希少。 生活文化にも大きな相違がありますから、対外的なコミュニケーションがほとんどできません。 国際的に孤立しやすい土壌が充分すぎるほどありました。 加えて維新以来の省庁組織は硬直化した縦割り。 外国どころか外務省、海軍省、陸軍省はもとより、政党間も各々がコミュニケーション不足。 資源不足を補うために東南アジア諸国や大陸に進出をしたものの、経済は疲弊の一途。 格差社会が表面化し、内政はこれまで経験のない混乱。 国際紛争を収束させるのは容易ではなかったでしょう。 外交には政治家、省庁の幹部が外国政府要人と私的交遊をすること、出来ることが 最重要. それに気付いたのは太平洋戦争が不可避になってからでした。 太平洋戦争(1941-1945)の開戦、終結と戦後日本の復興を考えるときに グルー大使と来栖三郎大使は忘れてはならない人。 1.野村吉三郎駐...