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感染症の海外ニュースと解説

スペイン風邪の亡霊?免疫不全が恐ろしい武漢新型コロナウィルス

平成末期から令和期は日本国がアジア諸国に門戸を大きく開いた
第3次文化革命の時代。
1次のヨーロッパ(1871)、2次のアメリカ(1945)に較べればアジアが
身近なつもりでいた人も2,000万人(2019年)を超える訪日アジア諸国民との
交流には改めてカルチャーギャップを感じている方も多いと思います。

大量のアジア系訪日客により生活環境が様変わりの方も多いと思いますが
これからは今の状態が平常と心得ていなければ、新型コロナウィルスのように
いつ移入されるかわからない新感染症に正しい対応が出来なくなります。
多くの地域の保健環境が「月とスッポン」といえる様変わりをしているはずです。



1.  武漢新型コロナウィルスへの対応は自己責任で自己判断

武漢新型コロナウィルス(COVID-19)の突発(アウトブレイク)は
パンデミック化するにつれ食品医薬品や飲食業界は混乱ともいえる大騒ぎ。
不確かな中国発統計に踊らされたマスコミが、センセーショナルに煽り
その騒ぎを増幅させますから、縁が薄かった健康な人々まで不安になって、
必要以上のマスクや消毒液の購入や買い占めに走っています。

新感染症はこれまでにない強敵ですが、冷静に、個々人が公衆衛生の
正しい保健知識を得て、ウィルスと戦えば十分身を護れます。
「備えあれば憂いなし」
ウィルスはヒトの体細胞に侵入しなければ生きていけません。
侵入を防ぐのは免疫細胞の強化しかありません。
有効なワクチンがある感染症も免疫力の高い人ほど効能が高くなります。
健康な体は一時に大量のウィルスに襲われないかぎり免疫力によって
ウィルスを撃退します。
 
*免疫力低下は医薬品を常用する基礎疾患のある方に顕著ですが、
ストレス過多、過労、栄養不足、運動不足、体の冷えなど、
日常的な生活習慣に起因する体細胞の機能低下も免疫力を
大きく損なう原因です。
ノギのサプリメントはどれもが局部的対応でなく根源の体細胞を
活性化する素材で構成されています。
基本的にはエネルギーを代謝するミトコンドリアの活性化を
目的としており、その代謝活動を補助する補酵素なども含まれます。
体細胞の活性化は生命活動の活性化。
病気を防ぎ、健康長寿、美容の根源となります。
 

2.  武漢新型コロナウィルスはスペイン風邪の祟り(たたり)?

アンラッキーな時期に巨大クルーズ客船が着岸したことにより
武漢と並び横浜が武漢新型コロナウィルス(COVID-19)の2大汚染地の汚名を
着ることとなりました。
新感染症に不慣れな関係者により狭い船内に約3,700名が
閉じ込められ、感染が急拡大していることに、体験したことがない
スペイン風邪(1918年)の亡霊を感じた専門家もいるでしょう。
スペイン風邪のパンデミックは世界史、医学史に記録されている大事件。
いまでは世界中の誰もが経験したことがないにも関わらず、知らない人は
ほとんどいないだろう100年前の悪魔の事件です。
 
インフルエンザ・ウィルスなど微生物感染症の拡散が学校や老人介護施設など
集団生活の場を介することは、軍隊キャンプを介して拡大したスペイン風邪の
教訓とともに、感染症専門家なら誰もが知るはずですが、歴史の教訓をも
無視して、大人数の乗員乗客を狭い空間に閉じ込めた不可解な対応。
100年間封じ込められているスペイン風邪の祟り(たたり)なのでしょうか。
 

3.  武漢新型コロナウィルスは特異な新コロナウィルス

武漢新型コロナウィルス(COVID-19)は遺伝子の共有部分も含め、サーズ*(SARS)や
*スペイン風邪に酷似した機能を持つコロナウィルス(coronavirus)です。

ウィルスのライブラリー(*BioRxiv)(*GISAID)や、新たに広東省で捕らえた蝙蝠の
保有する多数のウィルスより、新型コロナウィルスに一致するウィルスを探している研究者達。
ほぼ一致するコロナウィルスは見つけてはいるが、完全に一致するものではなく、
COVID-19は「比較的最近の変異で作られた新ウィルス」では、とのこと。
共通感染している動物の特定はまだです。
*bioRxiv(2013年11月から開始されたバイオのアーカイブ)
*GISAID(Global Initiative on Sharing All Influenza Data)
 

 

4.  武漢新型コロナウィルスの高病原性ヒト攻撃力

武漢新型コロナウィルス(COVID-19)はこれまでの様々なウィルスが
混合(Natural Recombination)されたものではなく、
ルーツと思われる蝙蝠から直接感染したものでもないようです。
蝙蝠の多くは冬眠中であり、初期の拡散源といわれる華南生鮮市場では
蝙蝠が売られていなかったため、最初にヒトに感染させたのは蝙蝠より受け継いだ
他の食用動物からだろうとのこと。
市場で表面化するかなり前から感染が始まっていた可能性があります。
 
武漢新型コロナウィルス(COVID-19)は親戚のサーズやスペイン風邪よりも進化した
侵入武器(insertions)を備えて人類を攻撃し始めています。
威力の詳細はまだ不明ですが、医師、看護師などヘルスケア担当者や
検疫官が感染しているため、飛沫感染ばかりでなく、エアロゾルや糞便も
予想できる、強い感染力を持っていると推測されています。

ウィルスは拡散中段階にも人体細胞内で変異を続けて生存をはかりますから
制御が容易ではない難敵となるのは間違いないでしょう。
中国の汚染がいかに重度で、深刻な現状なのかは、トップが先頭に立つ、
中国共産党中央政府の前例のない、あわただしい動きで垣間見ることができます。
大暴れした悪魔のスペイン風邪が封じ込められて100年。
武漢新型コロナウィルスが、再軍備で強力化したスペイン風邪の再来でないことを
祈るばかりです。
 
*スペイン風邪とは
スペイン風邪(H1N1:1918 flu pandemic:Spanish Flu)は
鳥インフルエンザウィルス、蝙蝠ウィルスをルーツとするアメリカ発の
インフルエンザ・ウィルス。
世界の推定感染者は5億人(世界の人口約40億人)。
推定死者が5,000万~1億人といわれます。
日本人の死者は40万人前後(日本の人口5,500万人弱)
いずれも当時の推計であり正確な数字は存在しません。
 
世界を瞬く間に制覇したスペイン風邪は米国カンサス州の陸軍キャンプが発祥地と
いわれますが、軍人、兵士の移動とともに全米の陸軍キャンプ地に拡がり、
第1次世界大戦とともにヨーロッパ大陸を席巻したといわれます。
スペイン風邪は中国の青海湖がルーツといわれ、武漢新型コロナウィルス(COVID-19)や
サーズ*(SARS)に近い、肺に入り込み増殖する機能を持っていたことが近年になり判明しています。
 「青海湖から始まる鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザ大流行には新型インフルエンザ発生の危険性が」

https://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=528



5.  武漢新型コロナウィルスは劇症肺炎のサーズとスペイン風邪の親戚
     サイトカインストームの危険性も

データバンク(BioRxiv)により蝙蝠を宿主とするコロナウィルスの
家系図(Coronaviridae family tree)を描く専門学者(bioinformatics specialist)に
よれば、武漢新型コロナウィルス(COVID-19)の遺伝子は96.2%が
蝙蝠ウィルス(bat coronavirus)に、79%がサーズウィルス(SARS)
50% が マーズウィルス(MERS)に一致したそうです。
*SARS:Severe acute respiratory syndrome(重症急性呼吸器症候群)
*MERS:Middle East Respiratory Syndrome(中東呼吸器症候群)
 
肺に入り込み増殖する機能はサーズに近いが、スペイン風邪も同様であったことが
特筆されます。
武漢新型コロナウィルスの遺伝子解析をした学者は武漢新型コロナウィルスが
スペイン風邪に近い遺伝子群を持つと発表しています。
一般的なインフルエンザウイルスは鼻やのどなど上気道で増殖しますが、
スペイン風邪のウイルスは上気道だけでなく、肺でも増殖し、原発性肺炎を
引き起こしたそうです。
サーズ、スペイン風邪の若い感染者には*サイトカインストーム(Cytokine storm)による
死者が多かった記録がありますから
近似ウィルスといわれる武漢新型コロナウィルス(COVID-19)もサイトカインストームを
警戒する必要があります。

すでに武漢では免疫力が高い若者が感染しないよう警戒されているそうです。
*サイトカインストーム:白血球のサイトカインに誘導された免疫力の
 暴走ともいえる過剰な部分集中。 
 サイトカイン(cytokine)はホルモン様低分子生理活性タンパク質
 Cytokine release syndromeとも呼ばれますが、アナフィラキシーショックに
 類似した症状により死に至ることが多いそうです。
 



6.  武漢新型コロナウィルスとリンパ球減少症(lymphopenia)

武漢新型コロナウィルス(COVID-19)はコロナウィルス亜綱(Coronaviridae family)と
しては特異性を持つ、全く新しいタイプのウィルス(brand new type of coronavirus)。
免疫細胞を攻撃し、リンパ球減少症(lymphocytopenia またはlymphopenia)を
招くことが解っています。
特徴的なのは武漢で発生した当初は患者の63% がリンパ球減少症(lymphopenia)を発症。
集中治療室の重症者となると85%が発症していたそうです。
 



7.  武漢新型コロナウィルスに特異なスパイク・タンパク質

武漢の研究者らは武漢新型コロナウィルスの表膜にある*スパイク・タンパク質に
精密な変異(Precise Mutations)をした4つの特有な
挿入体(4 insertions in the spike glycoprotein)を
発見しています。
これはサーズにも、他のCoronaviridae familyにも、
類似性をみることができないそうです。
*スパイク・タンパク質:S-protein:spike glycoprotein
 
さらなる驚きはこのスパイク・タンパク質に特有な
4つのinsertionsに同質か近似(identity/similarity)するものを
エイズウィルス(HIV-1)が持っていることです。
偶然かもしれませんが、思いがけない一致であり、武漢新型コロナウィルス感染者に
抗エイズウィルス剤を使用するきっかけとなったようです。
 
 武漢新型コロナウィルスに使用する抗エイズ・ウィルス化学療法剤は 重篤な副作用覚悟の劇薬

武漢新型コロナウィルスに使用する抗エイズ・ウィルス化学療法剤は 重篤な副作用覚悟の劇薬
新型劇症肺炎コロナウィルスが引き金となる遺伝子変異 武漢新型コロナウィルスはWHOにより「COVID-19」が正式名称となりました。 サーズ・パンデミックでは正式名称が決まらぬまま仮称が正式名称となりましたが 今回は早々に名称の統一をしたも

8.  武漢新型コロナウィルスが侵入するヒトの受容体はACE2

武漢新型コロナウィルス(COVID-19)の驚くべき特性は非常に短時間で侵入のツールとなる独自の
挿入体(insertions)を備えて、ヒトの受容体(receptor)に取りつき、侵入すること。
細胞内に入りこむコロナウィルス表皮のスパイク・タンパク質がヒトの受容体に
マッチするように挿入体(insertions)を変異させているようです。
 
血圧降下剤を常用する方にはお馴染みのアンジオテンシン阻害剤は
アンジオテンシン変換酵素2(*ACE2)を阻害する医薬品です。
* ACE2(angiotensin-converting enzyme 2)
ACE2の受容体は、特に肺および小腸の上皮内層(epithelial linings)に沿って
ヒト組織に豊富に存在し、サーズ・コロナウィルス(SARS-CoV)の細胞への
侵入経路を提供します。
SARS-CoVとCOVID-19の受容体結合領域(ドメイン)には
構造的な類似性がありますから、武漢新型コロナウィルス(COVID-19)もACE2を
受容体(receptor)としていると推定されています。
COVID-19 might use the ACE2 receptor to gain entry into host cells.
 



9.  武漢新型コロナウィルスに人造ウィルス(bioengineered virus)の疑い?

武漢新型コロナウィルス(COVID-19)のアウトブレイク(outbreak)は
「武漢のウィルス研究所やカナダのウィニペッグのウィルス実験室から流出した
遺伝子工学による人造ウィルス(bioengineered virus)が病原体(pathogen)では」
との噂がCBC News やWashington Postで報道されました。
武漢のウィルス研究所が中央政府のバイオテロ防御、生物兵器研究に中心的な役割を
はたしているからかもしれません。
武漢新型コロナウィルス(COVID-19)は異例な特性を持つ全くの新ウィルス。
不透明部分が多い現状では人造ウィルスをただちに遺伝子工学で
作ることは困難であると、COVID-19を調査研究している各国の科学者たちは否定しています。
(動物により、もたらされた変異ウィルスの場合ですから、人造ウィルスそのものが流出したので
有ればこの説は通じません)
武漢新型コロナウィルスの研究者らは、「感染症ウィルスのアウトブレイクでは毎度持ちあがる話」であり、
根拠を調査するまでもないと、現段階では無視しているようです。
 



10. 新感染症に感染者の全てが満足できる医療法はありません

新感染症の臨床医療現場では、感染者それぞれを担当医師が判断して
医療法を選ぶわけですが、ワクチンが未開発の武漢新型コロナウィルスのような
新感染症は決め手の医薬品がわからない状態からのスタート。

爆発的に感染者が増加している時点では、癌などのように個々に適した医療法を
臨床現場の医師が判断することは不可能です。
新感染症の場合は予想が困難なサイトカインストームの危険もあります。
 
そのような時点では数万人の治療に試行錯誤しながら苦戦する発祥地(武漢)の情報が貴重。
日本国を代表して現地を視察する有能な取材陣が重要、必要なのですが
担当省庁の不慣れな技官だけでは荷が重い作業。
結論的に、我々一般人はインフルエンザ同様に、いつ感染してもよいように対処情報を
整理しておくことです。
「備えあれば憂いなし」
 



11. 武漢では治癒患者の血漿を移入する治療が試行されています

最近になり武漢の臨床現場(一部)が試験的に導入しているのは
治癒済みで快方に向かった患者の抗体に期待して
その血漿を重症患者に注入する治療。
一種のワクチン療法ですが、重症患者を救うための
見切り発車ですから、当面は困難な事態を打破するだけが目的
 
結果が良かったようで治癒済みの患者に呼びかけて
血漿集めをしているようです。
ワクチン同様に不活性化して使用したようですが、これまでの
実施例は10件程度。
拒絶反応対策や使用法、使用量などの詳細は不明。
一部のマスコミが大騒ぎをするほど実用化が進んでいるわけでは
ないようです。



12. ギリアード(Gilead Sciences)社のレムデシビル(Remdesivir)

日本でスイスのロシュ社が販売しているタミフル(オセルタミビル)の
世界独占特許権を持つギリアード(Gilead Sciences)社(カリフォルニア州)が
米国で販売しているレムデシビル(Remdesivir)。
武漢新型コロナウィルス(COVID-19)治療の有力候補となっているようです。
その作用機序は細胞内に侵入してのウィルスキラーではなく
ウィルスを増殖させる酵素であるRNA依存性RNAポリメラーゼの阻害といわれますが、
関係者はウィルスのスパイク酵素が細胞に受容されるのを制御妨害する機能をも認めているようです。
それ故、タミフルに対抗して日本で開発された*ファビピラビル(アビガン)の転用より
実績が多く、安全性も各段に高いと評価されています。

タミフルの作用機序はコロナウィルスのスパイク酵素の一つが細胞に受容されるのを
制御妨害する機能。(細胞内ウィルスを撲滅することは出来ませんが、
増殖したウィルスが細胞外に出ることを防ぎ、たとえ新たな援軍が細胞内に侵入しても
閉じ込められてしまいます))
当初のレムデシビルはエボラ出血熱(Ebola hemorrhagic fever)、ニパウイルス(Nipah virus)
などの難敵を対象として開発されましたが、その分野は他メーカーの有力医薬品が
評価されており、主導権は握れませんでした。

レムデシビルはエイズ治療薬転用に較べ人体への負担が少ないのが利点といわれていますから
新型コロナウィルスには有用かもしれません。
レムデシビルは タミフル同様に細胞内に侵入済みのウィルス量が少ない感染初期段階で
劇的な効果を得られたといういくつかの報告がありますが、
実例総数がどのくらいあるかは不明です。
*ファビピラビル (Favipiravir):アビガン錠 (Avigan Tablet:開発者の商品名)
作用機序は細胞内のウィルスを転写(増殖)させる酵素である
RNA依存性RNAポリメラーゼの阻害:
RNA-directed RNA polymerase(reverse transcriptase)inhibitor
RNA-dependent RNA polymerase inhibitor

レムデシビルは これまでに安全性に確信が得られていないアジア諸国では承認されていませんが
試験的に使用されている米国や武漢アウトブレイクの臨床現場では
実績を積み重ねているといわれます。
最近になりWHO がレムデシビルを正式な治療薬として使用する方向性を示しました。
感染者急増で10万人に近づくほどの状態の中国では、重症者以外は
診療を受けられない混乱のようですから、発祥から短時間に著効がある医薬品の
出番には時間が必要かも知れません。

*ニュースソース
National Institute for Viral Disease Control and Prevention:
中国ウィルス管理予防センター

the Wuhan Institute of Virology:武漢ウィルス研究所
Institute Pasteur of Shanghai :上海パスツール研究所
Chinese Center for Disease Control and Prevention:
中国疾病管理予防センター

Hong kong university hospital(shenzhen)香港大学医学部病院(深圳)
Huazhong University of Science and Technology:武漢華中科技大学
Tongji Medical College:上海同済大学医学部
Beijing Medical University:北京大学医学部
Jin Yin-tan Hospital,Wuhan 武漢金銀潭病院
Tongji Hospital:上海同済大学病院
the Indian institute of Technology:インド工科大学
the University of Washington:米国ワシントン大学
Fred Hutchinson Cancer Research Center:ハッチンソン癌研究センター
the U.S. National Institute of Allergy and Infectious:
米国国立アレルギー・感染症センター

Vanderbilt University Medical Center(Nashville, Tennessee)
ヴァンダ―ビルト大学(テネシー州)

NIH:National Institutes of Health:アメリカ国立衛生研究所
CDC:Centers for Disease Control and Prevenrion:アメリカ疾病管理予防センター

 

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