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糖尿病のニュースと解説食在亜細亜:アジアの生鮮食材

旧フランス領インドシナの食文化(2): 花の都ダラットのアーティチョークは強壮、強肝の花野菜

(写真上)植民地時代はフランス人総督府の避暑用迎賓館として使用されていたダラット・パレスホテル.
山の手地区の中心にそびえます.旧ベトナム南部政権の富と権力の象徴

 

キク科花野菜のアーティチョーク(Artichoke:朝鮮あざみ)はイタリア、スペイン、フランス、アメリカなどの欧米野菜になじみのある人ならば珍しいものではありませんが、アジアではマイナー。
それがフランスの植民地として歴史が永いベトナムの野菜市場では、アーティーチョークをどこでもみることができ、多い少いはありますが食生活に根付いています。
特にベトナム中部の標高1,500mに位置する街ダラット(Dalat)は、フランス人が避暑地として開拓した土地だけにいまだに植民地時代の食習慣が強く残っています。
市場にはアーティチョークばかりでなく、ブロッコリ、カリフラワー、コールラビ(Kohlrabi)など欧米系の野菜が豊富(*中国産が多いかもしれません)。
中でもアーティーチョークは野菜市場のチャンピオン。最も目立ちます。
アーティチョークは強壮、強肝、抵抗力増強に良いことが知られており、健康食材に目がないアジア人、特に中国やベトナムには毎日食する人がいるようです。
ベトナムでは国営公社から健康食品も発売されています。
*ダラットはホーチミン市より北東へ約300キロ。

(写真上下)市場にあふれるグローブ(globe artichoke :Cynara cardunculus var. scolymus)と呼ばれるポピュラーな大型種。

 

日本で栽培されているパープル種(Purple of Romagna

 

独特の香りがあるアーティチョークはスターフライ、グリル、マリネー、ピックル、スープなど、考えられるあらゆる料理法で供されます。
子供のころから食べなれた人には忘れられない香り。
豊富な抗酸化ポリフェノールの保健効果。
アーティチョーク大産地のエジプトと並ぶイタリアのカンパリ社が製造するチナール(Cynar)は消化器系の健康リキュールとしても知られ、その香りに病みつきとなる人も少なくありません。
アーティチョークは地域でいくつもの種類が開発されて形状、色は様々です。
大型でポピュラーなのはフランスのCamus de Bretagne
アントシアニン豊富で人気のある紫色はPurple of Romagna、Violet de Provenceなどが著名。
米国カリフォルニア州は生産量こそヨーロッパやエジプトに遅れていますが、特別な愛好家が多く、種類も豊富。
サラダ野菜の大産地モントレー郡のカストロヴィール(カリフォルニア)では、毎年春にアーティチョーク・フェスティバル(Castroville Artichoke Festival)が開催されています。
(2013年は5月18日から19日)。

 

(写真下)アーティーチョーク(Artichoke)の前菜.芯(ハート)と花弁内の柔らかい部分、
茎内部を食しますが、固い外皮がありますからレストランできれいに調理できる人材は
多くないようです.
サラダなどは一般的にビネグレット(sauce vinaigrette)で食します。
写真の前菜はスチームかボイル後にマリナード(marinade)を漬け汁として、使用したと思われる調理.仄かなワインやビネガーの酸味があります。(ダラット・パレス・ホテル)

 

 

 

下町の中心は広場を囲み、市場、お土産屋、花屋がある。飲食は屋台が多くレストランは意外に少ない。
アメリカ嫌いと零細小売店保護のために欧米資本のファーストフードは極端に少ないが、それが肥満を防ぎ健康を害さないで済んでいる理由でしょう。

上左は欧米で人気のあるコールラビ(Kohlrabi:Brassica oleracea var. gongylodes)

 

 

上の写真は茎を付けたブロッコリ(Broccoli:Brassica oleracea var. italica)
アーティチョークの親戚です.
健康野菜筆頭の一つブロッコリ、カリフラワー、コールラビはアーティチョークとともに
食生活に深く根付いています。

食べ放題の野菜種はホーチミンとほとんど変わらない.食堂で無料の野菜は「もやし」
「バナナ花弁」「ウォーター・スピナッチ(Water spinach :Ipomea aquatica)」茎の笹掛け(split)
「ミズオジギソウ(Rau nhút)」、ウォーター・スピナッチ(空芯菜)の葉.(左上から)

オーダーメードでアーティチョークをベトナム南部名物カイン・チュア(Canh chua)に
仕立てる.(下町の大衆レストラン)
何でも鍋料理(ラウ)にする文化がありますから、それなりにできあがりましたが、
やはりこの花野菜の調理は難しいということを認識します。

(参考写真下)アーティチョークのスペイン料理

スペインではアーティチョークが富裕層に人気。バラエティーに富んだ料理があり、高級レストランの素材として使われることが多い。

ベトナムでは乾燥させた花や茎は健康茶として多くの愛好家がいます。感染症への抵抗力増強、強壮、肝臓に良いといわれます。毎日食せるように簡便な健康食品が国営を含めたいくつもの会社から販売されています。

ヴェトナムはどこの都市も観光客など外国人が訪れる場所は整備され、清掃が行き届いています。
発展途上の社会主義国らしいといえますが、ダラットも街の中心部の山の手地区(上の写真)や公園は花樹が多く美しい。

 

写真上左はダラット・ワイン. 右は熟したマルベリー(桑の実)
コーヒー樹の栽培、桑の実(マルベリー)、イチゴの栽培が盛んで、ダラット・コーヒー、桑の実とブドウで作られるダラット・ワインが特産物。

 

どこの市場、スーパーでもコーヒー売り場は大きなスペースを占める。
ダラット名物のチョン・コーヒー(ウィーゼルのラベル)が右端にありますが100g65,000ドン。
通常の30分の1くらいというあり得ない値段ですから人造香料の偽物。
ヴェトナムは世界1,2を争うコーヒー大生産地。ダラット高原はその中でも特産地。
インドネシア(コピ・ルアク:kopi luwak)、フィリッピン(カペ・アラミッド:kape alamid)などで有名なジャコウネコ(weasel)コーヒーの生産農場がダラットにはあります。(カフェ・チョン:ca phe ch?n) 。
カフェ・チョンの本物はキロ2,000万ドン(10万円)はします。

 

 


ダラットの街はコーヒー畑とバラ、キク、ランなど花卉のビニールハウスに囲まれています。近隣諸国、日本など大消費地へ送る観賞用のスプレー菊栽培が特に盛ん。

新装のダラット空港.

(生鮮食材研究家:しらす・さぶろう)

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