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食在亜細亜:アジアの生鮮食材しらす・さぶろうの日本人がんばれ!!

タイの魚市場その5:アジアの食用蟹文化(2): ソムタムプーとベンケイガ二(Sesarmops intermedium)

タイ国民の大好物.青パパイヤのサラダ(ソムタムタイ:Som Tam Thai)(バンコク)

 

1.タイ国民(アジア人)に欠かせないソムタムプー(Som Tam Pu:Somtam Poo

ソムタムプーはソムタム・タイに発酵カニを入れたタイ食文化の代表的庶民料理。
未熟な青パパイヤのサラダ(ソムタムタイ:Som Tam Thai)に、
生の塩漬け淡水産カニ(タイ語でプー:puまたはpoo)をすり潰して入れ、
トマト、ハーブ類、トウガラシ、好みの味噌だれ、スパイスなどを加えたサラダ。

ソムタムプラーラ(Somtam Pla-ra )と呼ばれる料理もありますが、ソムタムタイに
発酵させた生魚を入れたものです。
日本人が生のカニを入れることはお奨めできません.

(写真上)唐辛子、ニンニクで漬け込んだベンケイガ二
(Sesarmops intermedium:Sesarmidae)(バンコク:タイ)

ソムタムプー(Som Tam Pu)に使 用するカニは伝統的にベンケイガニ科(Sesarmidae)の
セサーミッド・クラブ(sesarmid crabs:Armases Angustipes:淡水系)を塩漬け発酵させて使用しますが、
昨今は同科のギザテアシハラガニ:(Sarmatium germaini)などが多いようです。

(写真上)ベンケイガニ科(Sesarmidae)のギザテアシハラガニ(Sarmatium germaini).
主としてサラダ(ソムタム・プー)に使用するが、いろいろな利用法がある.
各種のソースとともに販売されている.(タイ東部海岸パタヤの小売り市場)

(写真上)種類が異なるカニを付け込んでいるが漬け汁は
トウガラシ、にんにく、しょうゆ(チェンマイ:タイ)

ベンケイガニ科には近似の種類がいくつかあり、他科の沢蟹(さわがに)類も含めて、
サラダ調味にはいろいろな蟹種が使用されています。
日本でタイ人が作るタイ料理は淡水のサワガニ(Geothelphusa dehaani)、
汽水の*モクズガニ(イワガニ 科:Eriocheir japonicus)、
汽水、海水産のベンケイガニ(Sesarmops intermedium:ベンケイガニ科、旧イワガ ニ科)
などが使用されています。
アジア人の多い米国ではイワガニ科(Grapsidae)の
ロッククラブ(Rock crab, Lightfooted crab:Pachygrapsus crassipes)を使用するようです。
*日本でモクズガニ(Eriocheir japonica:Mitten Crabs )とも呼ばれる鋏に毛のはえている
小型の上海カニ(イワガ二科:Grapsidae)もソムタム・プーに使用されるようですが、
このカニはウェステルマン肺吸虫の中間宿主(後述)となることがあり生食は要注意です。
モクズガニ(上海ガニ)は生命力の強い世界の危険外来種とされ先進各国では
敬遠されています。

2.ソムタム・プーは庶民の最もポピュラーな屋台料理の一つ

オーダーメイドのソムタム・サラダ作り.ソムタム・サラダを作ってくれる屋台はどの町のどこにも.
発酵した蟹をすり潰して入れたソムタム・プー以外にも好みで多様なバリエーションがある.
時間のかかる調理中は注文したお客との会話を楽しんでいる.

(写真上)すぐ使用できるように皮を剥いで販売(バンコク:タイ) 右は日本で売られている青パパイヤ.
在日アジア人の多い地域ならばタイ・バジル、クラチャイ、ホムデン、バイ・マックルー、
レモングラス(タクライ)、カー、カミンなどなんでもそろいます.

青パパイヤは様々な料理に使われます.
未熟な青マンゴーとともに、タイ人には病み付きになる魅力が.
日本でも在日アジア人用に売っていますが、沖縄には食習慣が
あるようで牧志の大衆市場で販売されています.

右は青パパイヤの「笹掛け:ササガケ」作り.
都会にはこれだけを売る屋台があります.(バンコク:タイ)

3.アジアで発酵ガニを食するのはタイだけではありません。

アジアで固有の食文化といわれるほど全国に普及している国はタイだけですが
ヴェトナム、カンボジアにも同様の料理はあります。

(写真上)ヴェトナムではノコギリガザミの極小を潰すこともある(ホーチミン:ヴェトナム)
石蟹と総称されている(Charybdis Natator:Ridged Swimming Crab)小型の蟹が
混入もされていることがあります。

(写真上)カンボジアの市場では発酵させたギザテアシハラガニが売られていた.
(タイから輸入?:プノンペン)
ニャチャン(ベトナム)では、いろいろな種類の小型カニが混ぜて売られている.
潰してスープに入れたり、出汁を取る.
上方の写真にあるように、ヴェトナムに特徴的なのは生育途上の
小型ノコギリガザミを食べてしまうこと.発酵させてから食する人も多いという.



4.ウェステルマン肺吸虫(Paragonimus westermani:human lung fluke)

アジアとの交流が活発になって、ソムタムプー(Som Tam Pu:Somtam Poo
韓国料理の魚醤漬け(ケジャン)、中国料理の酔蟹など淡水産のカニを
非加熱で食べる日本人グルメが増えています。

国立感染症研究所ではこのような傾向に対し、肺吸虫(human lung fluke)による
食品由来の寄生蠕虫症を警告しています。
淡水産のカニや甲殻類にはウェステルマン肺吸虫(Paragonimus westermani)
宮崎肺吸虫(Paragonimus miyazakii)など、肺吸虫類の幼虫メタセルカリア(metacercariae)
寄生している場合があり、経口で人体に入ると、脳、胸腔、腹腔等に寄生します。

上海蟹(かに)を生食することは多くありませんが、味噌を食する
上海がには充分な火を通すべきです。
肺吸虫は淡水産カニや甲殻類ばかりでなく、哺乳類にも寄生する
人畜共通感染症(ズーノーシス:zoonosis)ですが、種類は50近くがあるといわれます。
日本ではイノシシの生肉で感染した例が報告されており、
哺乳類では排泄物にも多く見られるようです。
寄生虫病の症状は結核、肺がん、脳腫瘍と似ていると言われており、
寄生虫の発見が遅くなる場合があります。
国立感染症研究所によれば、最近8年間の検査では陽性が76例あり、
主として在日アジア人とのことです。
タイ人が最も多いようですが、日本の都市部では、タイ料理がブーム。
ソムタムプー(Somtam Poo)を提供する料理屋もたくさんあり、
肺吸虫類寄生の危険があるといえます。
食習慣のあるアジア人でさえ防御できない吸虫類ですから、
免疫の無い日本人は生カニ料理の摂食を避けることが賢明です。

生鮮食材研究家:しらす・さぶろう

 

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