人気絶頂のアイドル的スイマー池江璃花子選手が白血病発症を公表し、多くの国民が
早い回復を祈る情景が毎日のように報道されている2月ですが、日本では白血病はリンパ腫を含めれば
決して珍しい癌ではありません。
世界的には部位別ランキングの15位くらいですが、日本では
膵臓、肝臓、腎臓がんと肩を並べる数字で、日本のトップ10に入っています。
毎年2月4日は世界がんの日(World cancer day)
WHOと国際がん研究所(IARC) は癌と戦う国際対がん連合(UICC) をサポートし
様々なキャンペーンを展開します。
(IARC):International Agency for Research on Cancer )
(UICC:Union for International Cancer Control )
2019年世界がんの日キャンペーンのシンボル
1. 池江璃花子選手が白血病発症
「世界のがんの日」月間ともいえる2月に、日本の競泳界で新星と期待されていた
池江璃花子選手が白血病発症を公表(2019年2月12日)、治療を始めたことが報道され、
白血病(ルキミア:Leukaemia)ばかりでなく、悪性リンパ腫(リンフォーマ:Lymphoma)が
日本中で注目されるようになりました。
白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫は原子力発電所などでの放射線被爆で発症することが知られており
レントゲンやCT MRIなどの放射線も過度にならぬよう注意深くオペレーションされていますが
2017年の「世界がんの日」にWHOがまとめた報告ではテレビ、携帯電話など
日常的な放射線被爆も発がんに大きく関与することが報告されています。
原因不明な血液がんのリンパ腫、白血病は軽被爆をも疑う必要がありそうです。
2. 図抜けて多い日本人の悪性リンパ腫罹患
日本の2018年の悪性リンパ腫罹患者予測は32,400人(死亡者12,600人)。
白血病が14,100人(死亡者8,600人)ですから悪性リンパ腫罹患者数は
膵臓、肝臓、腎臓がんと肩を並べる数字で、日本のトップ10に入っています。
ただし、死亡者はこれら内臓癌と比較して少なく、3分の1くらいです。
(全がん罹患者数2018年の予測は101万人、死者は約38万人)
3. 放射線被爆でリンパ腫、白血病を発症する
リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫を血液がんとして括れば、世界の血液癌罹患者数は90万人くらい。
原因は多岐にわたりますが古くから指摘されているのが放射線。
原爆の開発で知られるニューメキシコ州ロスアラモス原子力研究所、ソ連の原子力発電所事故で
従業員や近隣住民にリンパ腫、白血病が多発したことで最大のリスクファクターが
放射線であることが認知されています。
放射線影響研究所(*放影研)によれば「イオン化放射線」と呼ばれるものには、
X線、ガンマ線、ベータ線(高速の電子)、アルファ線(ヘリウムの原子核)、
中性子線、陽子線、重粒子線などがあります。
紫外線は可視光とX線・ガンマ線の中間のエネルギーを持っており、
細胞に傷害を与えます(日焼けでおなじみ)
*重粒子線:ヘリウム、アルゴン、窒素、炭素などの原子核で、
宇宙から飛来するものや、特殊な装置を使って人工的に作り出すこともできます.
抗がん放射線として知られる重粒子線がん治療装置(HIMAC)は
利用者が6,000人以上いるそうです。
*公益財団法人放射線影響研究所は、日本国民法に基づき、日本の外務省および厚生省が所管し、
また日米両国政府が共同で管理運営する公益法人として1975年4月1日に発足しました。
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4. 日常的な放射線被爆も発がんの原因となる
リンパ腫や白血病は多岐にわたる発症要因があるため決め手となる予防法が難しい疾患ですが
リンパ系癌に関して2017年の「世界がんの日」にWHOがまとめた「がん予防虎の巻」
に注目すべき指摘があります。
それは日常的な非イオン化電離放射線被爆が発がんに大きく関与すること。
原因不明な血液がんのリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫は被爆を疑う必要がありそうですが
日本では日常的な放射線被爆に無関心な方が多いのが現状です。
5. イオン化放射線と非イオン化(非電離)放射線
イオン化(Ionizing radiation:IR)とはレントゲン、CT、MRIなどの
医療検査やラドンなど生活環境で日常的な被爆がある放射線
非イオン化電離放射線(Non-ionizing radiation:NIR)とは
テレビ、ラジオの電波、携帯電話、送電線下など低周波電磁波、赤外線、近紫外線、マイクロ波
6. 造血幹細胞のがん化が白血病(leukemia)
白血病は造血幹細胞(Blood Stem Cell)の癌化によって
白血球(*white blood cell:lymphocytes)の増殖が止まらなくなり
制御不能に陥る現象。
造血幹細胞は血球の全てを造る幹細胞です。
骨髄に存在するのは少量ですが、大きな造血能力を持ちます。
造血幹細胞で造られる血球は、赤色素ヘモグロビンを持つ赤血球と
血小板(巨核球)以外は免疫系細胞(immunocytes)と呼ばれる白血球です。
*白血球はルーカサイト(leukocyte)やホワイトコーパソ(血球:corpuscles)
ともよばれます。
造血幹細胞には骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞があり双方で白血球がつくられますが、
リンパ系幹細胞からは白血球中のリンパ球であるB(骨髄:bone marrow)細胞、
T(胸腺:Thymus)細胞、NK細胞(ナチュラルキラーT細胞:Natural Killer T cell)などが
産生されます。
7. リンパ球のがん化がリンパ腫
白血病が造血幹細胞自体が癌化して終わりなき増殖を続けるのに対し、
リンパ腫は骨髄やリンパ腺(Lymph tissue)の造血幹細胞から
産生途上のリンパ球ががん化したものです。
頸部(首)や腋下(脇の下)など体内のどの部位のリンパ腺からも発症し、
他の部位に拡がる癌です。
稀にはリンパ腺以外からの罹患もあるそうです。
癌化の時期により様々な治療法が必要で、ステージが進むと難しい治療となる
ケースが多いようです。
8. 日本に悪性リンパ腫発症例が多い理由
様々な放射線が白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液がんの引き金となることは
WHO主導のメタアナリシスにより明らかになりつつありますが、激しいスポーツのプロ選手や
慢性的な過労を強いられる芸能人、エクゼクティブなビジネスマン、
シフトのあるビジネスマンに顕著に表れるといわれ、ヘルペス同様に過労や体内時計の異変による
抵抗力の極端な低下も疑われています。
加えてこのような職業人は各種医薬品を常用し、スタミナドリンクや、筋力増強のために使用する鉄分注射、
合成アミノ酸、マカやニンジンなど強壮強精のアルカロイド系サプリメント、
メラトニンなど神経系のサプリメントを併用することが多いために、
それらが引き金となっているのではとの懸念もあります。
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9. 悪性リンパ腫のホジキン・リンパ腫とは(Hodgkin Lymphoma:HL)
白血球は骨髄白血球(B lymphocytes:B cells)と胸腺白血球(T lymphocytes:T cells)の
二つのタイプが知られていますが、悪性リンパ腫の中でも特異的な
ホジキン・リンパ腫(*Hodgkin lymphoma:HL)は、主として抗体蛋白をつくる
骨髄白血球(B白血球)の変異からスタートするといわれています。
大部分の発症原因はヒトヘルペス・ウィルス(Human herpesvirus4:HHV4)。
ヒトヘルペス・ウィルスは誰もがお馴染みの常在ウィルスですが、
発がんに関わり、リンパ腫(リンフォーマ:Lymphoma)の主要原因ウィルスとして
知られています。
Hodgkin Lymphoma (HL:ホジキン・リンパ腫) にはタイプの異なる
Non-Hodgkin Lymphoma (NHL:非ホジキン・リンパ腫)があります。
Non-Hodgkin Lymphoma (NHL)は放射線が疑われる癌。
放射線と脳神経やリンパ腫などとの関連研究が進行中です
治療にあたっては病理検査、染色体検査、遺伝子検査などで細かく病状の
差異を検査し、それぞれの治療法を模索します
10. 右肩上がりの日本人の癌罹患
総体的に癌の罹患者は年々増え続けています。
医薬品の開発促進で完全治癒では無くとも(寛解:かんかい)生存期間が伸びているため
死者は大幅に減っていますが、期待される根本的な治療法は数千万円から億円に届くような
免疫療法の高額医療ばかり。
癌罹患者数トップクラスの肺がん、胃癌、大腸がん、前立腺がんはここ5年間くらいで
倍増しています。
白血病罹患者は横ばいですが、悪性リンパ腫は急増しています。
前立腺がんに至っては2018年の予想罹患者が78,000人。
5年前の2014年は42,300人ですが、2000年は10,142人、1990年はわずか3,456人でした。
なぜ日本人には癌死が多い?:淡泊な食事と予防に無関心
肺がん、胃癌など癌罹患者数トップクラスが原発した理由には、確率の高い原因の推測が出来ますが、
白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の血液がんは慢性、急性を含めれば多様過ぎて的が絞りにくい癌です。
癌化の時期により様々な治療法が考えられてはいるものの、原因がはっきりしない癌ばかり。
初期でも強い抗ガン医薬品で強引に抑え込んで寛解に至るケースがほとんどです。
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「癌(がん)と発癌物質のニュースと解説:ノギボタニカル」