癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

癌のメカニズム解明はオステロポンチンが鍵

 

細胞老化と癌(その3): 癌のメカニズム解明はオステロポンチンが鍵 牛豚肉のシアル酸Neu5Gcが癌を誘発

1. 細胞外マトリックス機能の解明が予防医学進歩に貢献する

近年は細胞外マトリックスが癌(がん)、肥満などの慢性炎症や
諸々の難治性慢性炎症性疾患のオンオフに重要な機能を持つことが解明されつつあり、
研究者の主要テーマの一つ。
注目され始めてまだ20年くらい、未明部分は多々ありますが、革新的な発見も多く、
非常に期待されるターゲットです。
老化細胞が自然死せずに修復、再生して育まれるフィールドとなるのも細胞外マトリックスです。
*マトリックス(matrix:基盤、母体)
*細胞外マトリックス(Extracellular Matrix:ECM)
 細胞群の隙間を埋めて細胞と細胞を繋いでいるタンパク質組織。
細胞外マトリックス(ECM)の探究は医薬品開発目的の研究者が大半ですが、
癌治療薬に関しては、まだまだ夜明け前の段階。
コストと副作用の障壁を取り払うには時間がかかりそうで、
低コストが期待されている「遺伝子編集」による治療の実現が
早いかもしれません。
しかしながら細胞外マトリックスの機能研究では、医薬品不要な癌予防のヒントが
山盛り。予防医学の大きな発展が期待されています。

 

 

2. マトリセルラータンパク:matricellular protein

細胞外マトリックス(ECM)は関節などを包むゼリー状の組織で知られている*プロテオグリカンなど
糖蛋白が主成分ですが、細胞増殖因子、白血球などに作用して
炎症形成に寄与するケモカイン(Chemokine:*サイトカインの一つ) や
がん細胞などのECM分子群が棲息する微少環境(cell–microenvironment)が発見されています。
このECM分子群はマトリセルラータンパク(matricellular protein)と呼ばれ、
多様な細胞の受容体(鍵穴)にマッチする鍵(リガンド:ligand)をもち、
探し出した対象細胞や微小環境に様々な情報伝達をしています。
サイトカイン(Cytokine)
主として伝達系に働くタンパク質で、広義のホルモンです。
*プロテオグリカン(proteoglycan:PG)
 プロテオグリカン(proteoglycan)は関節などを構成する軟骨や、関節を包み込み、
 細胞外マトリックスの間隙を充填する液状の物質。
 たんぱく質を核として、相互に大変密接な関係がある
 キチン、キトサン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸など
 鎖状に複合した糖のグリコサミノグリカン(glycosaminoglycan:GAG)と
 総称される糖タンパク質で構成されています。
 かってムコ多糖類と呼ばれていたものです。
 遺伝子工学の発展と共に、このように糖が鎖状につながる糖鎖と、
 糖たんぱく質は、疾病や免疫に関係するなど、生命活動の謎を解明できる
 物質のため、生命科学の重要な研究対象となっています。
 
プロテオグリカンなど糖タンパク質の解説はこちら

プロテオグリカンは関節軟骨生成、間隙充填の必須成分: 新製品を装う難解用語の氾濫
グルコサミン、コンドロイチンは細胞外マトリックスの主要構成物質の一つ。加齢や傷害で関節、筋肉を痛めた方々には、お馴染みの糖蛋白ですがかってはムコ多糖類と呼ばれ、タンパク質と糖が結合した多糖類として知られていました.エビ、カニなど甲殻類の糖た

 
プロテオグリカンは陰性(マイナス)荷電の物質で、20種類以上の異種が
発見されていますが、分布する組織の場所により、多くの酵素が介在して
異なった過程の核タンパク質合成と糖合成がなされます。

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