心底から湘南文化と海を愛した 石原慎太郎さんの太陽の季節文学記念碑(追悼)

石原慎太郎さんが2022年2月1日にご逝去されました.
ノギボタニカルのデザインチームは2005年に「太陽の季節記念碑」企画を
プロデュースし、逗子海岸に石碑を建立いたしましたが
慎太郎さんへ追悼のレクイエムとして当時を振り返り、記録を新たにいたしました
いずれ、第2報「海の慎太郎さん」も、おとどけします.

記念式典に参列いただいた「石原プロ」舘さんと若手俳優の方々

式典を盛り上げてくれた「石原プロ」の炊き出しに近隣婦人会が協力.

式典前夜祭には隣人の「みの・もんた」さんはじめ多くの方々が駆けつけてくれました。

葉山在住大学同級生のハワイアンバンドをバックに好きな歌を披露する慎太郎さん.
地元のダンサーが盛り上げました. 

 

 

後援者、友人からの記念碑へのお祝いはメッセージタイル
石碑を取り巻く床、壁、階段の全てにはメーセージが込められた花崗岩のタイルが
張り巡らされています.
この記念碑建立に賛同した全国の慎太郎さんの友人、知人から送られた、心からの贈り物です。

 

記念碑の構造と素材
文学碑の主要部分は石原慎太郎さん、石碑プロデューサーの選択により大理石が使用されています。
大理石は南の海とダイビングを愛する慎太郎氏にふさわしいものです。
なぜならマグマの産物の花崗岩(御影石)と異なり、大理石はさんご礁のカルシューム分より
生成された海の産物だからです。
日本や韓国では石碑、サイン板、墓石に花崗岩を多用しますから、大理石の大型石碑はほとんどありません。大理石は風化、衝撃に対する耐久性に欠けますが、柔らかい独特の肌合いと色調、風化していく
その脆さが芸術家や文化人に愛されています。
特に欧州では大理石が圧倒的に多いのが特徴的です

記念碑に使用された二つの石材、花崗岩と大理石は全く異なる性質の岩石.
過酷な海浜環境と軟弱地盤の砂浜上の建築物。
安全性と経年変化防止に、考えられる、あらゆる手段を講じました。
二枚の石を張り合わせて表面が大理石、裏面が花崗岩のハイブリッド構造ですが
強度に勝れた均質素材の最高級石材をブロックから選び一枚板にカット。
貼りあわせに特殊な金物と接着剤技術を駆使し、剥離、倒壊を防止しています
慎太郎さんの強い希望で、非常に重い岡本太郎さんの「若い太陽」を現在の位置に
取り付けましたが現在(2022年)に至るまで脱落の予兆も無く、経年変化に耐えています。

補強のための花崗岩は楔形(くさび)で安定を保っています 
素材の大理石、花崗岩はネーミングが同じでも生産地、採掘場所により構成成分は様々。
強度も変性年度、産地により様々となりますが、均質性にすぐれ、最強度を持つ石材を選びました。

 

慎太郎さん憩いのひと時

工事中の記念碑を毎週訪問されて工事職の方々との談話を楽しみ、多くの時間を費やしていました。
権力や財力を誇る人を心底から嫌った慎太郎さんの憩いのひと時です

プロジェクトのイメージ・キャラクターは「太陽からの使者炎のランナー」

 

プロジェクトのイメージ・キャラクターは「炎のランナー」です。
 慎太郎さんが10代後半に描いたデッサンを図案化しています。 
「炎のランナー」はシュールレアリズムに傾倒していた慎太郎さんが擬人化した、太陽からの
メッセンジャーです。
このロゴ・マーク作成にあたり慎太郎さんが名付けました。
 太陽の燃え盛る炎(コロナ)は若い頃の慎太郎さんに強烈な力のメッセージを与えていました。
コロナは太陽の表面温度の1000倍を超える500万度にもなり、宇宙に莫大なエネルギーを放出しています。
 青春の無限とも思えるエネルギーも超えて、太陽は無敵です。おれに勝るものはいない、俺が地球を支配していると輝きます。メッセンジャーは鳥人です。
その出発点はコロナ。光速で現れ、慎太郎さんに力を与えます。
慎太郎さんは、厳粛に現れ、激しく照りつける、この太陽に全知全能の神とも同じ、虞(おそれ)と
尊敬を抱いています。
 
               「炎のランナー」描写の背景
炎のランナーが描かれた1950年ごろは、まだ敗戦(1945年)の混乱を解消できない、欠乏の時代でした。
絵の具やキャンバスを入手できない慎太郎さんは、図画教室に残る戦前の使用済み画用紙の裏に
デッサンを描いていたと話しています。
この頃の作品は纏められ、「10代のエスキース」として1991年に出版されました。
欠乏の時代に天が慎太郎さんに与えたのは、後年では得ることが出来なくなった、
若さ故の豊かな感性でした。
現在とは、はるかに技巧的に劣ると自身で言うデッサン力も、若さが持つ鋭いイメージがカバーしています。
 
                  フランス語と慎太郎さん
ロゴ・マークにつけられた解説は英語とフランス語が混在しています。
今でも慎太郎さんは、フランスの若き天才詩人のアルチュル・ランボオを引用して話をすることがあります。
 
10代の頃から慎太郎さんは、19世紀から20世紀にかけてフランスを中心に発展した
詩人ステファヌ・マラルメらのサンボリズム(シンボリズム、symbolisme、象徴主義)、
ダリ、ピカソ、ミロらのシュールレアリズムに傾倒し、作品には多くのフランス語が書き込まれています。
 
画集「10代のエスキース」は「Surrealisme」「L’ecriture automatique」「La figure」「 Et cetra」の4部から構成され、炎のランナーは第4部の「Et cetra」に収録されたものです。
 
描かれた正確な時期については慎太郎さんも記憶が定かでないようですが、デッサン力がついてきた
後年の作品と推測しています。
 
慎太郎さんに「太陽の季節」の英訳を問うたところ、「Saison de la Soleil」(セソン・ドラ・ソレイユ)だから、「Season of the Sun」だろうと、フランス語から翻訳していました。
慎太郎さんにはフランス語の表題がふさわしいのです。

「太陽の季節ここに始まる」文学碑の特徴
この文学碑には世界にも珍しい、いくつかの特徴があります。
一つはハイブリッド構造を持つ石碑。
二つ目は多くの友人、知人によるメッセージが込められた花崗岩タイルで全面が装飾されていること。
三つ目は二人の作家が共存していること。
慎太郎さんは、太陽の季節がイメージする太陽の炎(コロナ)は岡本太郎さんの
作品が最もふさわしいとして、「若い太陽」を選ばれました

 

石原さんの逗子の自宅では岡本太郎さんの作品を日常的に使用しています。

 

岡本太郎さん作品のイメージ

(参照)
本来は文学碑が夜も輝くはずでした。文学碑には照明を点けることが出来ます。

新しい科学を積極的に取り入れる慎太郎さんにふさわしく、青色発光ダイオードが使用される予定でした。
派手すぎず、ほんのりと海岸に浮かび上がる文学碑は逗子海岸のランドマークと位置づけられたでしょう。
既設階段撤去、軟弱地盤の潜下水防水工事費の予想以上の膨張で予算が尽きました。

花崗岩(グラニット)

  • 花崗岩は地球のマグマが冷結した火成岩の範疇に入るものです。日本では花崗岩は御影石の呼び名が一般的ですが、これは兵庫県御影での採石の歴史が古いためです。
  • 主成分はS1O2(酸化ケイ素)です。身近なものではガラスや磁器に近い組成です。
  • 吸水率が低く、高熱に弱いのが特徴です。
  • 色、紋様は限られています。
  • 日本では高級建築の外装(都庁舎など)、舗道の石、墓石、石碑などに多用されます。日本では屋外に設置される彫刻もほとんどが花崗岩です。

大理石(マーブル)

  • 大理石は白亜紀(1億4000万年前-6500万年前)に地球を覆っていた、さんごの死骸などが体積した、堆積岩です。大理石と日本で呼ばれるのは、古くから中国雲南省の大理で採石された石であることから、その地名が付けられました。
  • 主成分はカルシウムで組成される石灰です。したがって、石灰岩とも呼ばれます。大理石は石灰岩の中でも堆積した後に地殻の移動により圧縮されたものを指すために、変成岩の範疇にも入ります。身近なものでは、石灰、セメント、石膏とほぼ同じ組成です。
  • 熱には大変強いのですが、吸水率が高いのが欠点です。
  • 基本はカルシウムの白ですが、他の鉱物の混入により多彩な模様が作られます。
  • 日本では内装の床壁に使用されます。欧米では舗道の石、墓石、石碑などに多用されます。また19世紀くらいまでの建築では外装に使用されました。屋外彫刻もほとんどは大理石です。

 
岩石の成因は複雑ですが、大きく分けると上記の二つです。成分も上記S1O2(酸化ケイ素)、カルシウムが主成分ですが、これにマグネシウム、アルミニウム、コバルト、鉄、マンガンなど数多くのミネラルが加わり、100万年単位の歴史の中で、変成、粉砕、堆積を繰り返し、複雑に混交します。
S1O2(酸化ケイ素)とカルシウムは無色ですが、岩石が着色される原因となるのは、これらのミネラル群です。
岩石は、産地、成因、含有鉱物などで、様々に名付けられます。同種異名が多いのは他の自然科学の分野と変わりありません。
最近では含有鉱物の分析が進化してきましたので、成分分析は正確になりましたが、同じ成分構成であっても、変性作用により、異なった性格、外観になります。

石碑建立総合プロデューサー しらす・さぶろう

 

 

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