麻薬のルーツは麻黄(Ephedra sinica:エフェドラ)のアルカロイド エフェドラ・アルカロイドから作られた神経毒のエフェドリン(ephedrine)
この記事はただいま工事中です。変更されることがあります。
1. 北京冬期オリンピックで露呈したロシア選手のドーピング疑惑
新型コロナ禍の中で無観客で開催強行された北京冬季オリンピック。
109種目もの競技があるためにピントが合わせにくい難がありましたが、若い選手の活躍や国際交流に世界が沸いた競技がいくつかあり、それなりの成果を上げて閉会しました。
残念なのは観る競技として人気の高いフィギュアスケートで後味の悪いドーピング疑惑が未解決のまま残ったことです。
今回摘発されたのは血管拡張に作用する*トリメタジジンだそうですが、プロ野球界やアマチュア・アスリート、一般市民にまで蔓延しているオピオイド系鎮痛剤は入手が容易だったために拡散が早く、各国で腎不全患者が急増し、日本でも社会問題化しています。
*トリメタジジン:狭心症、心筋梗塞などに使用される脂肪酸酸化阻害剤.血管を拡げ血流を改善させる。日本の商品は住友ファーマのバスタレルが中心の医薬品。
「浜の真砂は尽きるとも、プロスポーツにドーピング疑惑の種は尽きまじ」
フィギュアスケートは冬期オリンピックの華。
それだからか、それなのに、金メダル確実といわれたロシアの女子フィギュアスケート選手のドーピング疑惑がIOCや世界のアイススケート界を大揺れさせています。
ロシア・フィギュアスケートの場合は、ごく少量のトリメタジジンをブースト(増強)させるビタミン、アミノ酸などの研究や、検査日と違法薬品の生物学的半減期を前提とした難しい研究課題が背景かもしれません。
お金と名誉に目がくらんだロシアの競技団体やチームでは、検査には反応しないが、大きな効果が得られる、様々なドーピング検査免避手法の開発も進んでいるようです。
この開発は新薬開発同様にかなり高度な技術ですから、優秀な技術者と巨額な費用が必要。国家がバックになければ開発はできないでしょう。
参加資格を17才以上にしようとか、検査結果報告が意図的に遅かったとか、論議が問題の根に迫らず、すり替えられ始めているようですが、プロスポーツとオリンピックの在り方から議論しないと、「大山鳴動して鼠一匹」、うやむやにされてしまうでしょう。
2. MLBスカッグス投手(LAエンジェルス)のオピオイド系薬物死公判
ドーピング疑惑渦中の2月18日に報じられたのが、米国プロ野球(MLB)LAエンジェルス、スカッグス投手のオピオイド系鎮痛剤中毒死公判。エンジェルスは大谷翔平選手が在籍するチームです。
若くして中毒死したスカッグス投手は禁止されているオピオイド系鎮痛剤のフェンタニル、オキシコドンを摂取してアルコールをブースターとしていたようです。
エンジェルス投手らや職員が証人喚問されましたが、薬物汚染が続くMLBの実態が明らかにされつつあります.
オピオイド系鎮痛剤蔓延による若者の腎不全多発は各国で社会問題化しています。
日本にとっても対岸の火事ではありません。
(1996年のWHOスタイルのがん疼痛治療法分類においては、最強の麻薬鎮痛剤です。オピオイドはケシから採取されるアルカロイドのテバインから合成される半合成麻薬。
鎮痛、陶酔作用があり、薬剤の高用量の摂取では昏睡、呼吸抑制を引き起こしアメリカ疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、オキシコンチンを長期間服用した人の約24%が薬物中毒になると警告しています。
オピオイドは誰でもが大量に買える日本の大衆的麻薬系鎮痛剤。トップブランドはエスエス製薬のブロン、大正製薬のパブロンでしょう。
いずれも麻薬性鎮咳成分といわれるオキシコンチン類似(前編参照)のリン酸ジヒドロコデイン塩(Dihydrocodeine Phosphate)を使用しています。
このほかの売れ口商品にはアマゾンの自社ブランド「PHARMA CHOICE」の麻薬系咳止め薬「コンコン咳止め錠 120錠」があります)
プロ野球は陸上競技と並び、以前から、合法、不法ドーピングが蔓延している競技です。
「巨人軍推奨サプリメントのドーピング疑惑」オピオイド系鎮痛剤をサプリメントとしていました。
今回のROC(ロシアオリンピック委員会)のカミラ・ワリエワ選手の問題でも違法を推進するコーチやドクターの存在が話題となっていますが、かってTHGで摘発されたプロ野球選手多数のドーピング事件と類似した点が多々あります。
3. 米プロ野球では検査薬が反応しない民間医学者の新薬開発
米プロ野球では検査薬にTHGが反応しないカリフォルニア州の悪徳医学者の違法新薬開発に、多くのMLB大リーガーが群がっていました。
「ドーピングに使われるアナボリックステロイド(THGなど)と アンフェタミン型覚せい剤」
ロシア・フィギュアスケートの場合は、検査を免れる手法の開発。検査に反応しない、極少量の違法薬品をブースト(増強)させる合法薬品群の研究や違法薬品の生物学的半減期を前提にした手法など。
新薬開発同様にかなり高度な研究ですから、国家がバックにしなければ手法開発はできないでしょう。
カミラ・ワリエワ選手だけがドーピングしていたとは考えにくく、金銀メダルの選手も「同じ穴」。
個人差が大きい生物学的半減期を前提にしていれば、ありうること。
ワリエワ選手の代謝が悪かったということではないでしょうか。
4. 日本人のアマチュア・アスリートが避けねばならぬこと
日本人が欧米のコーカシアン選手と遺伝子学的に肉体的ハンディが非常に大きいのは理解できますが、危険を承知のプロ選手はともかく、アマチュアが活躍できるのは一瞬ともいえる短期間。
腎不全は一生の重荷となり、重症化は死につながります。
必要悪のプロ選手の模倣は危険です。
プロスポーツ界でドーピングが退治できなければ、その予備軍であるアマスポーツ競技者にも悪癖は蔓延しますから、プロ競技でのさらなる取り締まり強化が求められます。
2018年12月中旬、学生駅伝のランナーに半強制的に貧血治療用の医薬品である「鉄剤注射」を強いる指導者や医師が、スポーツドクターらに再警告され、マスコミ(読売新聞)の話題となりました。
「鉄剤注射は肝腎を害し寿命を縮める」Q&A:ナッシュ(NASH)、腎臓疾患、糖尿病の原因にも
関節痛と性欲減退は鉄過剰症も疑う必要があります。
鉄剤の過剰摂取は、さらにEDを悪化させ、腎肝不全や前立腺がんになる方が、非常に多いのが最近のトレンドです。
また前立腺がんはバイアグラが発売されてから急増しているといわれます。
マカやオタネニンジンなども芥子(けし)同様に強いアルカロイドの作用があり、腎肝不全や前立腺がんの危険性が増します。
EDを薬物で解消する前に鉄過剰症を疑う必要もあるでしょう。「肝硬変の元凶はヘモクロマトーシス(鉄過剰症)」
5. 合成アミノ酸、鎮痛剤の過剰摂取で腎不全
プロ、アマを問わずスポーツ選手には合成アミノ酸や鎮痛剤の摂取で血流改善、筋力増強、体格改良に安易に取り組む風潮があります。
合成アミノ酸の過剰摂取は医薬品過剰摂取同様に「腎不全」の大きなリスク・ファクター。
腎臓を傷め、腎不全ばかりか、怪我の頻発に繋がっているのではと危惧されています。
腎臓は悪化させたら回復が難しく、一生後悔することになります。
腎不全は筋肉、骨に大きな影響を与え、機能をも阻害します。
「トランプ大統領が火をつけた腎臓病治療の構造改革」
アミノ酸の中でも、特にスポーツの分野で愛用されているのが、必須アミノ酸に属し、分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid = BCAA)と総称されているバリン、ロイシン、イソロイシン
「危険なアミノ酸バランスの崩壊: 継続的合成アミノ酸摂取と医薬品による腎臓障害の多発」
6. 麻薬系鎮痛剤オキシコドン (oxycodone) (商品名:オキシコンチンなど)
2015年6月18日にトヨタ自動車常務に新任した広報担当の米国人女性が、麻薬取締法で逮捕されたのもオピオイド系鎮痛薬(麻薬系鎮痛剤)のオキシコドン入手によるもの。
アヘン・アルカロイド成分のテバイン*由来合成鎮痛剤で初期癌患者の鎮痛に使用されることが多い鎮痛剤。
女性役員の事件は嫉妬による内部通告の様相もありますが、鎮痛剤に関する日米の文化の違いがあるようにも思えます。
ただし、入手手法から推測して日本では違法なことを存知していたと考えられているようです。
*テバイン (thebaine)はパラモルフィン (paramorphine)とも呼称されます。
7. 麻薬系鎮痛剤フェンタニル(Fentanyl:商品名)
2015年6月15日に北海道八雲町総合病院の医師と看護師が麻薬として使用していた麻酔薬がフェンタニル。
オピオイド性鎮痛薬系と呼ばれるヘロイン系統の合成物ですが、モルヒネよりはるかに強力なために末期癌(がん)患者に投与されることが多い。
血漿中からは1時間くらいで消滅。
3-4時間の滞留で体外排泄されるためにチャイナホワイトと俗称されるストリート麻薬として悪用されることが多い。
8. アルカロイドとは植物毒成分の総称
アルカロイドはアルカリ様という意味で、動植物に含有されるアルカリ性(塩基性)成分の総称です。
特に植物には多く分布します。
植物毒のほとんどは、アルカロイド成分が占め、マオウ科、ナス科、ケシ科、メギ科、キンポウゲ科、アカネ科、マメ科、ユリ科、ヒガンバナ科など多数の植物に含有されます。
植物毒のアルカロイドは神経ホルモン様の働きを示し、末端神経に入り込むと、少量で神経を麻痺させる毒性を示します。
この作用が医療分野で麻酔薬モルヒネ、フェンタニルなど多数の医薬品開発につながりました。
オピオイド系鎮痛薬(麻薬系鎮痛剤)のルーツもケシ(芥子:Opium poppy)のアルカロイド。
地中海原産といわれ、東ヨーロッパ、アジアの高原地方で栽培されています。
代表的アルカロイド成分名:
モルヒネ(morphine)、コデイン(Codeine)、パパベリン(Papaverine)、ノスカピン(Noscapine)は
芥子(けし)の実の乳液由来の麻酔、鎮痛剤。
常習者を廃人にする麻薬のアヘン(阿片:Opium Pulveratum)も芥子(けし)のアルカロイドです。
ケシ科には200種類以上があり、園芸栽培される小型のヒナゲシ(雛芥子、Papaver rhoeas L.)、
別名グビジンソウ(虞美人草)はポピー(Poppy.)として親しまれていますが、毒性のアルカロイドは、ほとんどありません。
麻薬、覚醒剤となるエフェドラ(Ephedra)とエフェドリン(ephedrine): 麻薬と植物のアルカロイド
サルビア・アルカロイドは覚醒剤LSDと同じ? サルビア(セージ、コレウス)のインドール・アルカロイド