健康寿命を延ばす若返り(その2) フランスINSERMが人工甘味料の発がん性にかかわる疫学調査を発表 敬遠される人工甘味料の「逃げ道」は果糖ブドウ糖(異性化糖)

国連によれば2018年の世界の癌による推定死亡者は約950万人。発症者1,800万人。
​世界76億人口の中で先進諸国を除けば推計ですから、統計的には目安にすぎせんが、
意外に少ない感じがします。世界で推計950万人の死亡者に対して日本は約35万人。
これは実体でしょうが、先進国としては多すぎる人口比です。
最近5年をみれば死亡者は漸減していますが、罹患者は減少に転ずることがなく
倍増しているようです。
日本人の癌(がん)は死因の30%以上を占め、先進国の中では最高位(人口比)です。
遺伝子解析が進んで、白血球や血液の遺伝子配列が解明されつつありますから、
白血球型、血液型の遺伝子相違による民族的な癌(がん)発症数の差異が
証明されるかもしれませんが、摂取食材の差異が大きな影響を与えていることに
多くの疫学的研究があります。

1. フランスのINSERMが決めつけた「人工甘味料は様々な慢性疾患の病原」

農業大国であるフランスは食と健康に関する研究の最先進国。
米国、ドイツと異なり加工食品、食品添加物の安全性に関して関係企業とは
一線を画しており、消費者志向の研究が数多くあります。

INSERM*(国立保健医学研究所)は食生活四大悪、五大悪の一つといわれる
人工甘味料(artificial sweeteners)に関して
永らく「*様々な慢性疾患の病原」と呼び産業界に注意を促していました。
*the aetiology of various diseases
ことに発がん性(carcinogenicity)に関してはいくつかの実験により危険性を示す結果を
得ていましたが、確たる疫学的証明がない、動物実験(animal models)や
実験室(in vitro)での研究が主体でしたので、近年はウェブをベースにした
コホート(cohort:大規模疫学的調査)の「the NutriNet-Santé study」を続けていました。 
この疫学的調査は国民へ人工甘味料の危険性を納得させるために、INSERMの公衆衛生学担当役員で
世界的に著名な*M.トゥヴィエ博士がリーダーとなりました。

*INSERM (French National Institute of Health and Medical Research)
 フランス国立保健医学研究所
約15,000人の研究者、エンジニア、技術者、博士課程修了の学生と300超の研究所を擁する、
ヒトの健康に全面的に特化するフランス唯一の公的研究機関(wiki)

*Dr Mathilde Touvier
マチルダ・トゥヴィエ博士:ソルボンヌ・パリ北大学(Sorbonne Paris Nord University)で
公衆衛生学、疫学、統計学を学び、国立工芸院(Conservatoire national des arts et métiers)や
米国のコロンビア大学、カリフォルニア大学などでも疫学研究をした気鋭の女性公衆衛生疫学者
 

 

2. 人工甘味料は発がん性(carcinogenicity)と関連

 

「the NutriNet-Santé study」と名付けられた疫学的コホート調査は、
人工甘味料と発がん性(carcinogenicity)との関連(associations)を調べるのが主目的。
生活習慣が似た男女42才前後(42.2 ±14.5)の地域住民ウェブ会員約17万1,000人を対象としたもので
毎日の食事内容を報告してもらい、人工甘味料摂取量を計量。(調査の詳細は省略)

地域住民の食生活に使用されている人工甘味料はアスパルテーム(Aspartame)58%を筆頭に
アセスルファムカリウム(acesulfame K)29%、スクラロース(sucralose) 10%の3種類が
総計97%を占めており摂取量が増えるほど癌リスクが増大することが判明しました。
研究調査論文は3月24日の医学研究誌( PLoS Medicine Journal)に掲載されました。
(人工甘味料の詳細は省略)

3.  敬遠される人工甘味料の「逃げ道は果糖ぶどう糖液糖(異性化糖)」

健康被害の疑いが濃くなったアセスルファムK(acesulfame potassium)
アスパルテーム(aspartame:商品名はパルスウィートなど)、L-ファニルアラニン化合物、
サッカリンNaなど人工甘味料は、いまだにかなりの量が加工食品に使用されていますが、
近年はその代替として異性化糖が多くなっているのに驚かされるでしょう。

酵素反応などで果糖(フルクトース)を異性化させたのが
異性化糖ですが、天然果糖や砂糖とは本質が異なる*合成果糖。
日本では天然甘味や砂糖だけの加工食品を探すのが難儀といえるほど異性化糖が普及しています。
異性化糖は砂糖より、はるかに安価で低カロリー。
保存、味覚などにもメリットがあるといわれます。
ほとんどの清涼飲料に加え、ヤクルト、カルピス、ポカリスウェット、アクエリアス、
リポビタン、アリナミンなど健康飲料といわれる商品、鍋物の即席スープ類、焼き肉のたれなどが
軒並みに異性化糖を使用。
保存性が良いために観光地のお土産食品(漬物、ジャム、飲料、菓子類)なども大半の製品が
人工甘味料か異性化糖(*high-fructose corn syrup:HFCS)を使用。
食品表示ラベルには「果糖ぶどう糖液糖」などいくつかの表現で示されています。
 
*異性化糖の製法はいくつかありますが最も多いのがコーンシロップ(corn syrup)。
遺伝子組み換えされたトウモロコシ(corn)のでん粉から化学分解で
コーンシロップ(ブドウ糖液)を作り、その液をさらに酵素反応などで果糖(フルクトース)を
異性化させたのが異性化糖
日本では清涼飲料水、ドリンク剤や漬物など加工食品に使用することが認められており、
トクホ認定の健康飲料まであります。
 

4. AGEを恐れる欧米人は異性化糖も避けています

人工甘味料や異性化糖は砂糖(ショ糖)の代替として肥満や糖尿病患者に朗報と強調され、
「糖質カット」「ダイエットには必須」などと表現された商品ともなっていますが
米仏では人工甘味料ばかりでなく異性化糖も危険合成添加物として敬遠され、
極力使用を中止しています。
タンパク質の糖化反応によるAGE(終末糖化産物:Advanced Glycation End Products)
が老化や癌、生活習慣病、腸内細菌叢バランス悪化の原因となると恐れられているからです。

日本は認可済み化学合成食品添加物数が先進国中で最大の350種類以上。
認可済み添加物総数の3分の1を占めます。
これはイギリスの15倍、フランスの10倍、アメリカの3倍といわれます。
いずれ取り上げますが「果糖ブドウ糖」は、ほとんどのハム、ソーセージなど
加工肉の保存、着色に多用される「亜硝酸ナトリウム」と並んで、最も使用量が多い
食品添加物の一つです。
亜硝酸ナトリウムは日本では許可されていますが国際がん研究機関*IARCでは
発がん性が明確であるというグループ1に指定されています。
*IARC(International Agency for Research on Cancer)

人為的に作られた合成果糖の最大の欠点はタンパク質の糖化反応
異性化糖は天然の糖分と異なり拮抗成分がありませんから、ブドウ糖をはるかに超えた
大量のAGE(終末糖化産物:Advanced Glycation End Products)
が産生されるといわれます。
異性化糖を使用していた米仏のコカ・コーラが砂糖に変更されたのは
AGE(終末糖化産物)産生が認知されてきたばかりでなく
腎臓、糖尿病を悪化させるだろうとの研究があるからともいわれています。
ただし日本のコカ・コーラはダイエットコーラばかりでなく、レギュラー仕様も人工甘味料、
異性化糖を使用しています。
*(コカ・コーラHPより)
アセスルファムK(カリウム)は、酢酸を原料とする高甘味度甘味料で、砂糖の200倍の甘さがあります。
水に溶けやすく、熱や酸に対する安定性も高いといわれています。
アスパルテームなど他の甘味料と組み合わせて甘味の質を砂糖に近づけるため使用しております。

5. 体の錆(さび)といわれるAGE(終末糖化産物)が老化を促進

日本でも異性化糖は激しい健康被害議論が続いていますが、行政レベルの現状は受け入れ可能。
トクホ認定の健康飲料まであります。
AGE(終末糖化産物)は糖蛋白の老廃物といえるものですが、異性化糖は砂糖(ショ糖)に較べて
AGE産生量がはるかに大きいことが知られています。
加齢により体内に多いコラーゲンなどタンパク質の代謝が遅くなりますが
健康な人体には損傷されたタンパク質の修復機能があります。
体の錆(さび)といわれ、老化の促進が容姿に如実に現れるAGE(終末糖化産物)は
タンパク質の修復機能を低下させる物質(細胞の老化)としても注目されています。

甘味料生産の化学工業化が始まってからはまだ30年から40年くらい。
危険性も安全性も立証できる年数ではありません。
より危険な腎臓疾患、ガンなどに対する安全性はこの先数世代まで確認できません

6. AGE(Advanced Glycation End Products終末糖化産物)とは

異性化糖による産生が多いといわれる終末糖化産物
(Advanced Glycation End Products:AGE)は総称であり
化学的には幾つもの種類がありますが、その定義は
「タンパク質と糖が加熱化合した物質」。

研究が進むとともに、近年では老化や癌、腎疾患、生活習慣病の原因となると
恐れられています。
AGE(終末糖化産物)は異性化糖による産生のほか
外因性として肉や卵などの動物性タンパク質が
「焼く」「揚げる」という調理時に「*焦げてしまうほどの高温処理」で
調理された時に発生します。
この時に異性化糖との化合が糖に較べ特に大量となるといわれ、
20年前くらいから外因性AGEが糖尿病性腎症のリスクファクターとなる
可能性が研究者により指摘されています。
*メイラード反応(Maillard reaction)とは異なり炭化まで進んだ時

内因性では血液中の糖濃度が高い糖尿病で活発にAGEが
作り出されることが解っています。

血管内で生み出されたAGEは血管壁に蓄積し動脈硬化を促進させ
糖尿病、腎疾患に限らず高脂血症、高血圧といったメタボリック症候群や
アルツハイマー型認知症のケースでもAGEの生成が脳卒中や心筋梗塞といった
血管疾患のリスクを高めています。

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